映画「劇場(又吉直樹)」あらすじ、ネタバレ結末
- 2020.07.18
- 映画
今回は映画・劇場の
ネタバレを結末まで公開します。
あらすじ、ネタバレ
男子高校生の永田は、
音楽、文学、格闘技などに詳しい
野原という同級生に出会います。
野原に触発された永田は
シナリオを書くようになりました。
やがて2人は東京に行っては、
小劇団の演劇を観るようになりました。
高校を卒業した2人は上京し、
劇団「おろか」を立ち上げました。
ところが客足は重く、
公演を行うたびに酷評の嵐でした。
永田は
不安で押しつぶされそうな日々を送っています。
そんなある日、
永田はある画廊の前で
自分と同じスニーカーを履く
沙希という女性に声をかけます。
永田はしつこく声をかけて、
沙希をカフェに誘いました。
沙希は青森出身で
今は服飾系の大学に通っています。
中学時代から演劇部に所属しており、
女優を夢見て上京したのです。
永田が劇作家と知った沙希は、
彼に興味を持ちました。
一方の永田は劇団の悩みを
沙希に話す事ができません。
2人は連絡先を交換して別れます。
その次の日の夜、
永田は野原に呼び出されて
居酒屋に向かいます。
すると野原以外にも団員の
戸田、辻、青山の姿がありました。
他の劇団に馬鹿にされている事と
永田の独裁的なやり方が
3人には不満のようです。
永田は全く反省せず、
女性団員の青山に暴言を吐きました。
居酒屋を出た後、
永田は辻にボコボコにされます。
3人はそのまま退団となりました。
永田は新作を書き始めます。
新作の脚本を書く中で、
永田は野原の助言を受け、
沙希をデートに誘います。
意外にも沙希はあっさりと了承しました。
デート当日、
永田が待ち合わせ場所に向かうと、
沙希がナンパされていました。
沙希は美人なのです。
デートの途中でも
沙希は何度も声をかけられ
永田は不満そうな表情を浮かべます。
沙希は理想的な女性でした。
歩くスピードを合わせてくれ、
明るく悩みを吹き飛ばしてくれます。
そして、
人とは少し違った彼女の行動は、
新作のアイディアにもなりました。
テンションが上がった永田は、
新作「その日」を一気に書き上げます。
脚本を読んだ野原は、
いつもと少し違うと評価しました。
ただし、
この脚本にはヒロインが必要です。
永田は沙希に脚本を見せて、
出演して欲しいと頼みます。
(沙希は女優志望)
脚本に感動した沙希は、
喜んで引き受けました。
次の日から稽古が始まります。
沙希は永田が思うよりもずっと
演技ができました。
中学生から演劇部なので
永田や野原よりも先輩なのです。
劇団「おろか」の「その日」は
まずまずの好評を得ました。
特に沙希の演技が褒められ、
永田は複雑な心境のようです。
「その日」が好評だった事で、
「おろか」は定期的に公演を
行うようになりました。
しかし、
「その日」以外の評価は微妙です。
稽古日と公演日が増えた事で、
永田はアルバイトを辞めました。
金に困った永田は、
学生である沙希の自宅に
居候する事になりました。
沙希は永田に文句の一つも言いません。
永田は沙希の誕生日に
財布をプレゼントしました。
沙希は嬉しすぎて大泣きしました。
永田はそんな彼女を尊いと思います。
永田は
「一緒にディズニーランドに行きたい」
と沙希に言われます。
永田は劇作家として
他の人の創作物で自分の彼女が
喜ぶ姿を見たくないと断りました。
いつしか沙希の自宅は、
永田にとって好きな場所になりました。
2人は徹夜で作業する日が多くなりましたが、
その時間も楽しんでいるようです。
永田が劇で使用するお面をつけると、
沙希は大爆笑しました。
そんなある日、
沙希が大学の男子から
原付を貰いました。
話を聞いた永田は不機嫌になりました。
そんな永田に沙希は、
「たまに永君が何を
考えているか分からない。
その時はどう接していいか分からない。」
と言いました。
苛立った永田は、
例の原付を壊しました。
沙希には「事故った」と嘘を付きます。
落ち込む沙希に永田は
自転車をプレゼントしました。
時は流れて、
沙希は洋服店に就職しました。
沙希は家計を支える為に
夜は居酒屋でバイトも始めます。
沙希には大きな変化が訪れますが、
永田は相変わらずの日々を送っています。
沙希は朝から働いていますが、
永田は夕方に起きる毎日です。
2人はすれ違い始めます。
永田は野原に誘われて、
劇団「まだ死んでないよ」の
公演を観に行くことになりました。
「まだ死んでないよ」の脚本家は、
永田と野原の同い年で、
世間でも注目されている小峰です。
劇場には大物評論家の姿もありました。
公演を観終わった永田は
自然と涙を流しました。
それと同時に小峰と自分の
才能の差を痛感する事になりました。
この公演には、
「おろか」の元団員・青山も来ていました。
後日、
永田は青山に呼び出されます。
青山は公演のレポを書いて、
1人では捌けない売れっ子になっています。
そこで青山は永田に
仕事を手伝って欲しいと依頼します。
お金が必要な永田は、
この依頼を引き受けました。
そんな中、
沙希が広い家を探し始めました。
多少の収入を得始めた永田は、
沙希の家を出て独り暮らしを始めました。
沙希は引っ越しを諦めました。
永田は青山に誘われて、
演劇関係者の飲み会にも
顔を出すようになりました。
青山の仕事の為に我慢して
くだらない評論家の話を聞きます。
このように嫌な事があると
永田は決まって沙希のアパートに行きます。
ここで永田は
「まだ死んでないよ」の団員・田所が、
沙希が働く居酒屋の同僚だと知ります。
その繋がりなのか、
小峰も居酒屋にたまに来るようです。
そして、
青山も小峰達と飲む機会があり、
沙希とは顔見知りでした。
青山は沙希の事をべた褒めして、
ヒモの永田を批判しました。
永田はその怒りを沙希にぶつけます。
沙希は過呼吸になりますが、
永田は無視して自宅に帰り、
沙希には会わなくなりました。
それでも、
酒を飲んで気が大きくなった時だけ、
沙希の家に上がり込みます。
酔いが醒めると後悔して、
寝たフリをします。
そんなある日、
「私、お人形さんじゃないよ」
と永田は沙希に言われます。
この日から
沙希の家の鍵が開いていたり、
彼女が酔っている日が多くなりました。
結末
沙希は居酒屋の店長に誘われて
「まだ死んでないよ」の公演に行きました。
永田がその事を追求すると、
酔っていた沙希は不満をぶちまけました。
沙希はもう27歳になるのです‥‥
また別の日の夜、
永田が沙希の家に向かうと、
彼女が酔い潰れていました。
最近は毎回のように酔っており、
さすがの永田も沙希の体を心配します。
沙希から
「これからの事で話したい」
というメールが届きますが、
永田は無視しました。
それから1カ月ほど経った日の夜、
永田が沙希のアパートに行くと
彼女の姿がありませんでした。
そこでバイト先の居酒屋を訪ねます。
「まだ死んでないよ」の団員たちが
店を閉めた後に飲んでいました。
永田に気付いた田所が声をかけます。
田所の話によると、
沙希は店長と帰ったようです。
永田は田所と小峰に
居酒屋の店長の住所を聞き、
沙希を迎えに行きました。
帰り道、
永田は2人の思い出を語りますが、
沙希は一言も喋りません。
徐々に沙希が引き籠るようになり、
お酒の量も増えました。
明らかに体調も悪そうです。
ある日、
永田が帰ると沙希が泣いていました。
久しぶりに散歩に出たところ、
若い美容師に声をかけられ、
最後に暴言を吐かれたのです。
激怒した永田は、
美容師が沙希に渡した名刺を手に
美容室に行こうとしますが、
沙希にやめて欲しいと言われます。
沙希の静止を振り切って
美容室に向かう永田ですが、
野原と青山に止められます。
沙希から助けを求められたようです。
永田は青山に、
「沙希ちゃんを追い詰めないで
もう別れてあげるべきだと思う」
と言われました。
そして相棒の野原には、
「自分に才能がない事を認めないと
沙希ちゃんが壊れる」と告げられます。
永田は心を入れ替えて沙希の家に帰ります。
すると沙希から
青森に帰ると言われました。
地元で体調を戻すよう母に言われたのです。
こうして沙希は
荷物を東京に残したまま青森に帰ります。
やがて沙希は回復し、
そのまま地元で就職しました。
報告を受けた永田は
アパートの荷物をまとめ始め
「その日」の台本を見つけます。
少し時が流れて、
沙希がアパートを引き払うために
東京にやって来ました。
出会った頃の元気な沙希に戻っています。
永田と沙希は2人で荷物を片付けます。
その途中で2人は、
「その日」の台詞を読み合いますが、
永田は台本にはない言葉を口にします。
永田
「君には迷惑ばかりかけた。
夜の仕事もさせたくなかった。
俺に安定した収入があれば‥」
沙希も永田のアドリブに続きます。
沙希
「あなたと一緒には居られない。
昔は貧乏でも好きだったけど、
何にも変わらないじゃん。
でもね、
変わったらもっと嫌なの。
だから仕方ないの。
永君は本当に悪くないの。
焦って変わったのは私だから。
どんどん自分が嫌いになる。
私ね、東京に来てすぐ、
夢は叶わないって感じてたの。
永君と会えて本当にうれしかった。
永君のおかげで惨めな気持ちじゃなく、
楽しい気持ちで東京を歩けたの。
永君が居なかったら
もっと早くに帰ってた。
だから、ありがとう。」
永田
「演劇でできる事が現実でもできる。
演劇がある限り絶望する事はない。
今から俺が言う事は
ある意味本当の事だし、
全部できる事。
沙希ちゃんは実家に帰り
働きながら元気になる。
俺は飛躍的な成長を見せ
いっぱい稼げるようになる。
沙希ちゃんが元気になったら
おいしい物をいっぱい食べよう。
温泉も行こう。
海外のテーマパークも行こう。
好きなものを全部買ってあげる。
財布も買ってあげるよ。
大昔に買ったやつボロボロだもんね。
あれ、沙希ちゃん落とした時、
大騒ぎしたよね。
財布を買いに海外に行こう。
大きな犬を飼って、
大きな家に住もう。
楽しい日々を過ごして還暦を迎えたら
ちょうどいい温度のお茶を飲もう。
沙希ちゃんが待っているから
誰からの誘いも断って家に帰るよ。
こんな当たり前の事が、
なんで出来なかったんだろう‥」
沙希は何度も「ゴメンね」と呟き、
大粒の涙を流しました。
その姿を見た永田は、
かつて作ったお面をつけて、
ふざけて見せました。
沙希は泣き止んで
素敵な笑顔を見せました。